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【本】「レインツリーの国」有川浩

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 こんにちは、みやまです。

窓を開けて柔らかな日差しと春のそよ風に吹かれながらの読書。きっとこの初夏の時期にしか味わえない幸せですね。もう少し時期が前なら長時間窓を開けてると寒いし、もう少し後になると蒸し暑くなって窓を締め切ってエアコンつけちゃって読書どころじゃないですもん。

 

さて、そんな初夏の読書タイムに有川浩の「レインツリーの国」を読みました。

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あらすじ

きっかけは「忘れられない本」。そこから始まったメールの交換。共通の趣味を持つ二人が接近するのに、それほど時間はかからなかった。まして、ネット内時間は流れが速い。僕は、あっという間に、どうしても彼女に会いたいと思うようになっていた。だが、彼女はどうしても会えないと言う。かたくなに会うのを拒む彼女には、そう主張せざるを得ない、ある理由があった――。(Amazon内容紹介)

 

ブログの読書感想文から始まる恋

中学時代に読んだライトノベル。あの衝撃のラストをどう受け止めたのだろう?と、社会人3年目の主人公・向坂伸行がネットで検索するところから話が始まります。

たどり着いたのは、「ひとみ」という女性がブログ「レインツリーの国」に書き記した読書感想文。伸行は彼女の文章から覗く真摯な物の考え方に惹かれ、メニューの最後に載っていたメールアドレスに意を決し「伸」としてメールを送ります。

 

あの頃のメールとチャット

この本が単行本として刊行されたのは2006年。スマートフォンが登場する前の時代に書かれた物語です。だから携帯電話はガラケーだし、メールのやり取りはパソコンがメイン。途中、チャットで会話をするシーンがありますが、あの時代にインターネットを経験していないと想像しにくいかもしれません。

取っかかりは無料のチャットルームを借りてきて待ち合わせをするなどだ。(中略)プライバシーに敏感なひとみの性格を読んで、ログイン式のものを用立ててある辺り芸が細かい。

 不特定多数の人が自由に会話ができるオープンチャットと、2人きりで話ができるクローズチャット(呼び方はいろいろある)があって、待ち合わせてルームに入ることができるんですよね。

2017年ではスマホがあるしLINEもあるし、そのへんの「返事が来るのが待ち遠しい」の感覚の違いとかを今の10代や20代前半の子はどう感じるんだろうなあと単純に興味があります。

 

文章からにじみ出る人柄

私自身、ブログやSNSで自分が書いた文章を発信したり、他人が書いたものを読んだりして、人柄って文章に出るんだなあと感じます。言葉のチョイスや言い回し、発想のセンス、教養だって知らず知らずのうちに文章ににじみ出てくるんですよね。

「この人の文章好きだなあ、ついつい読んでしまうなあ」とエントリやTLを追っていくほどに、その人の人柄にも惹かれていってしまう経験がある人も少なくないと思います。

 

文章で自分の気持ちを表現したり相手の気持ちを汲み取ることって、お互いの文章力や語彙のレベルが近くないと難しいと思うんですよね。伸とひとみは毎回結構な長文でやりとりをしていて、お互いの感情をじっくり読み取らせるような内容の文章を書いています。

相手の発言を引用して言及していくのって、相手の言わんとしているところをすくって自分の意見を返していくというエネルギーを必要とする行為なんですよ。今の時代だったらLINEのスタンプ1個で済ませてしまうような文章のやり取りにもエネルギーがこもっているし感情がすごく乗っているんですよね。

 

ネットのつながりの人と会うということ

このお話ではメールやチャットのやりとりから、実際に文章の向こう側の人と会うことになります。この時点で二人はかなりメールやチャットのやりとりで仲が深まっているのですが、やっぱりネットの人、しかも異性と実際に会うのって勇気がいるし怖いなって私は思うんですよ。この感覚は個人差があるので気軽に会えちゃう人もいるとは思いますが。

案の定二人は実際に会ったことでいろいろとすれ違いが生じてしまいますが、文章のやり取りで徐々に距離を縮めていきます。

 

聴覚障害者に対する理解

「レインツリーの国」には聴覚障害が物語の要素として出てきます。中途失聴者・難聴者と健聴者の壁はもちろん、中途失聴・難聴者とろう者との壁についても、理解されにくい苦しみや不便さが描かれています。

ハンディキャップやコンプレックスとどう向きあって生きていくのか。そしてそれを抱えて葛藤している相手にどう寄り添っていけばいいのか。心に刺さる表現が物語の中にはいくつも出てきます。その表現に出くわす度に胸がキュッと締め付けられるような感覚になってしまいました。

 

おわりに

たとえこの恋がうまくいかないかもしれなくても。お互い疲れ切って傷つけ合って終わるかもしれなくても。

二人なら乗り越えられると楽観的になれるほど現実が優しくないことも知っているけれど。

行けるとこまで行こうや。

だって二人のことやん。二人とも降りたくなったら降りたらええやん。

 

伸とひとみのようにお互いを想い合うような恋がしたいですね!!!!なお、相手はいない模様…。

 

おわります。

 

▼2015年に映画化されました▼

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www.miyama-chronicle.com

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