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【読書メモ】「ファンベース ──支持され、愛され、長く売れ続けるために」(佐藤尚之)

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佐藤尚之著『ファンベース ──支持され、愛され、長く売れ続けるために』を読んだ。

この本で取り上げられる「ファン」というのは、いわゆるアイドルや芸能人のようなファンではなく、企業やブランド・商品につくファンのことを指す。

そして、ファンとは「企業やブランド、商品が大切にしている『価値』を支持している人」と定義されている。したがって、ターゲットとされている読者はメーカーや事業会社をはじめとした企業担当者だ。

しかし、アイドルにおけるファン(とそれに付随する経済活動)を考える場合にも、「グループ(または個人)の価値を支持する」と言う観点は同じことが言えるのではないか、と思いながら読んでいた。

というわけで、読後のメモと感想を以下に記した。

 

 

 

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ファンベースとは?

本のタイトルにもなっている「ファンベース」は、以下のように定義されている。

ファンを大切にし、ファンをベースにして(ベースには、土台、支持母体などの意味がある)、中長期的に売上や価値を上げていく考え方

「ファン・ビジネス」や「ファン・マーケティング」はよく聞くが、「ファンベース」は、現在の価値の延長線上にある未来の価値に期待し、一緒に夢を見たいと思っているファンと共に変化・成長し価値を創出していくことである。

 

新規獲得が難しいからこそ

なぜファンベースという考え方が重要になっているかというと、人口急減・超高齢化・少子化・独身増加などで、新規顧客獲得が非常に厳しいフェーズに突入しているというのが大きな理由だという。

どんどんキャンペーンを打つ「短期施策」や、イベントやバズ狙いのコンテンツ・デジタル広告のような「単発施策」を行うことで新規を獲得するのが一般的であるが、昨今では、エンタメが溢れかえりすぎるあまり人々に届きにくくなり、届いたとしてもすぐ忘れ去られてしまう。

もちろん、もう新規獲得を諦めよう!という極論に出ているわけではない。売上の大半を支えてくれている熱心なリピーターの満足度を上げることで、長く安定して売れ続ける状態にしていく必要がある。地盤が安定すると、新規獲得のための施策を打つ体力(財力)もつく。

この短期・単発施策と中長期のファンベース施策を組み合わせた「全体構築」を意識的にやっていかないといけないのである。

 

20%のファンの心をつかめ

売上の大半はすでにファンになっている人たちによって支えられている。本書で紹介されている「パレートの法則」によると、全顧客の上位20%が売り上げの8割を生み出している。

そしてその20%の中の4%が、まだファンじゃない人に積極的に良さを伝えたくてしょうがない人、「コアファン」であるという。

80%の浮動層は、残念ながらすぐ忘れる。あなたのその大切な言葉をしかと受け止め、強く支持し、愛してくれるのは 20%のファン、そして 4%のコアファンなのだ。 彼らの心により強く響かせることが大切だ。彼らは周りにそれを広めてくれる。

全員に好かれる必要はさらさらない。 20%でいいのだ。 20%のファンに好かれること、信頼されること、それが大切なのである。

押さえておきたいのは、商品を買ってくれた人すべてが「『価値』を支持してくれているファン」であるというわけではないという点だ。ファンは買ってくれた人の20%くらいなのである。

そのため、支持し愛してくれるファンであり続けてもらうことが収益の安定に直結する、というわけだ。

 

ファンの支持を強くするための 3 カ条

では、ファンであり続けてもらうためにはどうすればよいのか。

  1. その価値自体を、アップさせること「共感」を強くする
  2. その価値を、他に代えがたいものにすること「愛着」を強くする
  3. その価値の提供元の評価・評判を、アップさせること「信頼」を強くする

この3カ条を見てパッと思い浮かんだのが、avexのキスマイスタッフである。現在のキスマイのオタクたちは、所属レーベルであるavexに対して異常なくらい信頼を寄せている。

ファンが欲する曲や映像作品といったコンテンツの提供と、リリース発表や発売前に更新される圧倒的熱量のスタッフブログは、そのクオリティの高さから「俺たちのavex」と呼ばれるほどだ。

この信頼はキスマイのデビュー当初からあったわけではなかった。スタッフブログやメイキング映像にて、スタッフのキスマイへの愛が垣間見えるようになってから徐々に積み重なったものなのである。

 

真のファンとは?

ファンについて論じる時に物議を醸すのが、「本当のファンとは何か?」ということである。

コンサートに全通する、CDを複数買いする、出演番組をすべてチェックする…どれもファンの活動として間違っていない。だからといって、ただ声が大きいのがファンではない。

コアファンは、そういう「自己中心的な偏愛の人」ではなく、「企業の事情や方向性をわかった上での偏愛な人」にすべきである。 ちゃんと企業の身になってくれる人を中心につきあうことを意識しよう。

真のコアファンは、対等に扱われるほうが喜ぶ。 彼らをもてなすのはいい。感謝を伝え、いい体験をしてもらおう。でもへりくだりすぎないこと。胸を張り、誇りを持ってコアファンとつきあおう。 逆に言うと、特別扱いや接待を要求する人は、身内ではない。コアファンではない。というかファンでもない。クレーマーの類いである。

価値の支持を表明できるのが購買行動であることは言うまでもないが、あくまで対等な関係であることが長く愛され続けるのには必要なのである。 

 

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